INTERVIEWLOCAL VENTURE LABLVL OBOG 22.03.30

プロジェクトを一緒に育てていける仲間や地域、企業と出会うことができました。

  • 第5期生

謎解きトレーナー

茨木いずみさん

宮崎県高千穂町出身。一橋大学社会学部卒業後、株式会社ベネッセコーポレーションに入社し、DM営業に従事。 その後岩手県釜石市で復興支援員として、まちづくり会社の設立や、組織マネジメント、高校生とのラジオ番組づくり、馬文化再生プロジェクト等に携わる。2015年3月、元同僚と世界とつながる教育を宮崎県内の産学官と連携しながら宮崎の若者に提供するNPO法人グローカルアカデミーを設立し、事務局長に。2015年12月、故郷の高千穂郷・椎葉山地域が世界農業遺産に認定されたことを受け、2017年8月に宮崎県立高千穂高校を中心としたアクティブ・ラーニング型の教育プログラム「GIAHSアカデミー」が開講。それをきっかけに、2018年に家族で熊本市内に移住し、現在は2児の子育てをしながら高千穂町を拠点に「教育環境に惹かれて人が集まる地域づくり」に取り組んでいる。2021年3月、東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了(研究テーマは「都市と地方の人材の循環」)。

故郷にUターンして、
事業の種を育てるためにラボに参加したんです。

ローカルベンチャーラボ参加前はどのような活動をされていましたか?

大学卒業後は株式会社ベネッセコーポレーションで営業をしていたのですが、2013年に岩手県釜石市の復興支援員(※通称「釜援隊」)になりました。それから、まちづくり会社の設立や、地域の高校生とのラジオ番組づくり、馬文化再生プロジェクトなどに関わって、2015年に任期を終えました。

その後、大学院進学のため東京に戻り、ベネッセ時代の先輩と「NPO法人グローカルアカデミー」を設立し、事務局長になりました。グローカルアカデミーでは、県内の産学官と連携しながら、宮崎を起点に世界とつながる教育を提供しています。

2017年には故郷の高千穂郷・椎葉山地域が世界農業遺産に認定されたことを受けて、宮崎県立高千穂高校の生徒を中心に世界農業遺産(GIAHS)について学びながら地域の魅力や課題を発見していくアクティブ・ラーニング型の教育プログラム「GIAHSアカデミー」が始まり、グローカルアカデミーとして関わり始めるようになりました。

そこから月の半分高千穂町に通う生活になり、2018年には熊本市内のベンチャー企業に配偶者が転職を決めてくれて、家族で熊本市へ移住することになりました。おかげで子どもを連れて飛行機で行き来する生活から、車で2時間弱で通えるようになったので、高千穂で挑戦できることが広がりました。

そのような環境の中で、実父が立ち上げた高千穂町を拠点に歴史的建造物の活用やリノベーションまちづくり、地域資源を活かした学びの場づくり等に取り組んでいる「NPO法人田原未来プロジェクト」と協働して、町内の河内地区を舞台に「河内ナゾトキ町探検」と名付けた謎解きイベントを開催したんです。

そのときに、過疎地域で地域の資源を謎解きの主題として開催することで、子どもたちが地域へ関心を持つきっかけになったり、地域内外問わず多様な人たちが交わり関わりを持つきっかけになるという手応えを感じて、2021年からは個人事業として、この謎解きゲームを地域教育・まちづくりの手法の一つとして全国展開していけないかと活動を始めました。

ローカルベンチャーラボに参加を決めたのは、この謎解きプログラムの事業化に集中して取り組む機会にできそうだと思ったからです。

高千穂町河内地区での謎解きプログラム準備中の写真

「自分じゃないと始まらない仕事をしていきたい」と、
働き方への考えが変化していきました。

ローカルベンチャーラボで印象的だったことを教えてください。

まず、同期生同士でのメンタリングの時間が印象的でした。

定期的な場があったことで、自分へのプレッシャーや事業構想を進める際のマイルストーンになりましたし、メンタリングメンバーに古民家を共同購入してシェアハウス化している同期生がいたのですが、ちょうど高千穂町でゲストハウスにしたいと思いつつ実現できていなかった物件があって、改装費用の集め方や管理方法を教えてもらうことで実現までの過程を描けるようになったんです。

また、ラボ生全員に配られた「地域を変える事業のデザインシート」という資料に載っていた、ラボ生同士が行う自己理解を深めるためのディスカバリーインタビューを実践してみて、今後の5年間をどうしていくか道が見えてきました。

私は「自分が面白いと思うことをやっていきたい」という気持ちが強いのだということを発見して、地域の関係者の顔を見ながら最適解を探す仕事ではなく、自分にとっての「面白い」を増やしていきたいと感じるようになりました。

例えば、ちょっと唐突に聞こえるかもしれませんが、ラボ期間を通して河内地区に牧場学校をつくりたいという気持ちが強まりました。

きっかけは、2021年4月に実施した謎解きイベントの際、高校生の発案で馬車を走らせたことです。このとき、岩手県釜石市で馬文化再生プロジェクトに取り組んでいた際にお世話になった方にご協力いただきました。全国各地でホースセラピーを取り入れた学校を運営されている方なのですが、「河内でもやったら?」と言ってくださって。

実はちょうど地域の中学校が廃校になり、活用方法が決まっておらず、ホースセラピーの学校にできたら長いスパンで地域が変わっていきそうだなと思うようになったんです。

私自身、過去に釜石市で子どもたちと一緒にホースセラピーを体験して、たった1時間で子どもたちにこんなに変化があるのだと衝撃を受けたことがあったのと、地域に馬車を呼んだ際にも馬一頭いるだけでこんなにもまちが元気になるんだなと感じたことが後押しになりました。

経験のない分野に最初は尻込んでいたのですが、メンタリングで最高の5年後について話した際に、挑戦したくなってきている自分に気がついて。

相当な覚悟が必要だろうし、壁もたくさんあると思っていますが、「教育に惹かれて人が集まる地域を創りたい」という自分の大元の願いを実現できそうですし、この企画はこの地域では自分以外誰も動かないだろうなと感じています。

そうした経緯もあり、ラボ参加前は「やりたいことがありすぎてどうしよう」と感じていたのですが、今は誰かにお願いできそうなことは誰かに手渡しつつ、自分じゃないと立ち上がらない仕事をやっていきたいと感じるようになりました。

ラボ修了生と意気投合し、
新しい地域で事業を実現する機会が生まれました。

ローカルベンチャーラボに参加して、事業にどんな変化がありましたか?

夏に事業プラン発表会があって、その機会に参加させていただいたのですが、その際にラボ修了生の旅行会社支店長の方と出会い、現在その方のお誘いで支店の若手社員さんらと彼の知り合いのラボ修了生2名と一緒に修学旅行生向けに謎解きプログラムを作成中です。

また、同期生との協働の話もいくつか生まれていて、岡山県西粟倉村を拠点にしているラボ生と村で謎解きイベントを実現できないかと試行錯誤していたり、デモデイでは石川県で高校生向けの活動をしているラボ生と一緒に謎解きイベントを実現するために助成金を取りにいってみようかというアイデアが生まれました。

また、これは親族からいただいたご縁になるのですが、ラボ期間中に「阿蘇火山博物館」と謎解きプログラムを作ることになり、そこから発展して、阿蘇エリアの経済活性化のための謎解き活用の講師をすることになりました。

先日、阿蘇ジオパークに指定されているエリアでボランティアガイドされている方を対象に謎解きプログラムの作り方、活用法の講義を行い、謎解きの事業は講師もメニューとして成り立つのだなという発見がありました。

ホースセラピーによる廃校活用の事業プランは、助成金を申請したのですが残念ながら落ちてしまい、謎解きの事業へのお声かけが多くある中、そちらの対応に追われているのが現状です。でも、実現したい気持ちは変わらずあるので、引き続き機会を探していきたいと思っています。

様々な地域で活動する人たちと出会い、
意見やアイディアをもらえたことは、大きな助けになりました。

期間中、新型コロナウイルス感染拡大により事業に影響はありましたか?

子どもを通わせている幼稚園がしばらくの間登園できなくなり、仕事時間の確保が難しかったです。また、あまり離れた場所に移動はしにくく、フィールドワークの機会を持つことができませんでした。

居住している熊本市内から活動地域である高千穂町への移動も、県を跨ぐため難しい時期があり、リモートでの仕事を余儀なくされました。

そうした大変さがあった中で、助けになったローカルベンチャーラボでの学びやサポートはありましたか?

事業プランを多くの人の前で発信する機会をもらえたことです。冒頭でお伝えした新しいプロジェクトの種が生まれたきっかけは、そうした場に参加させていただいたことにありました。多様な地域を拠点にしている人たちと繋がることができたのは、ローカルベンチャーラボという場があったからこそだと思っています。

また、新しい視点を得る場所、相談する場所がある期間は、人生の中で貴重だと思っていて。ローカルベンチャーラボで出会った人たちに、自分にはない視点で意見をもらえたことは、本当に得難い時間だったと思います。

特に最後のデモデイでメンターの寺井さんからいただいた、「謎解きを企業のインターン研修と結びつけると面白いのでは?」というアイデアは、私が所属するグローカルアカデミーでもインターンへの取り組みをしているので「実現できるかもしれない!」とワクワクしています!

何よりもラボに参加したことで、謎解きプログラムはいろんな場所で関心を持ってもらえ、実際に協働の機会が生まれるコンテンツなのではないかという手応えも得ることができました。

同じように頑張っている仲間ができたことで、
自分の挑戦を前よりポジティブに捉えられるようになりました。

自分自身について、変化を感じていることはありますか?

ラボに参加してから、自分の名前で仕事をする機会が増えました。楽しさもある一方で、失敗してしまったときには誰も助けてくれないという厳しさも感じています。

一方で、ラボで自分の事業を応援してくれる人がいるということ、自分と同じように地域で頑張っている人がいるんだということを実感できたことは、精神的な助けになっています。

活動地域では中々理解されないこともあり落ち込むときもありますが、「いいね」「面白いね」と言ってくれるコミュニティができたことで、自分の挑戦をよりポジティブに捉えられるようになりました。

自分が楽しいだけではなく、他の人もそう思ってくれていると思いながら取り組めるようになったのは、大きな変化だったように思います。

事業の今後について考えていること、感じていることをお聞かせください。

謎解きの事業で食べていけるようになるのか、はっきり見えているわけではないですが、可能性のある事業だとは感じています。ローカルベンチャーラボで繋がることができた人たちと事例をつくっていくことをしながら、お金になる方法を考えていければいいのかなと感じています。

修学旅行生向け謎解きプログラムの制作や、4つのエリアの小学校をオンラインでつないでの謎解き大会の開催と、初めてのことに挑戦する中で、工数がどのくらい発生するのかや、自身の仕事に自分でどの程度の値段をつけたらいいのかなど、いろいろと考えることができた半年間でした。

今後は営業をどう進めていくのかが課題です。まだ営業に割ける余力がないので、しばらくは繋がった人たちと事例作りを進めていこうと考えていますが、本当に謎解きプログラムを全国に広げていこうと思ったら一人では無理だろうと感じているので、実験を繰り返しながらどういう仕組みがいいのか考えていければと思っています。

自信やスキルを育てられた半年間でしたか?

様々な人との繋がりが得られたことが、自分の中では大きな財産になった気がしています。また、目の前に現れた機会に対して、自分ができることをどう当てはめていくのか考えられるようになりました。自分ができることをプログラム化できるようになった半年間だったと思っています。

ありがとうございました!

LVLに参加する方へメッセージ

LVLでは、よくも悪くも自分から動かないと何も変わりません。 メンターの山元さんからいただいた「プログラムの修了は、卒業ではなくLVLコミュニティへの入学」という言葉を忘れず、これからも「自分がこうありたい」と思う方向へ向けてアクションを続けていきたいと思っています! 新たにLVLメンバーとなる方々との今後の出会いを楽しみにしています。