EVENT/REPORTLOCAL VENTURE LAB 22.12.14

研究プロジェクト「森あそびラボ」で、岐阜県郡上市のフィールドワークを実施しました

ローカルベンチャーラボ2022では、地方と里山の持続可能性を高めるために森林空間活用で人と経済の循環する仕組みづくりの実験を行う「森あそびラボ」と名付けた研究プロジェクトを進めています。

参画しているのは、島根県雲南市を中心に、北海道厚真町、愛媛県久万高原町、岡山県西粟倉村の4自治体に、全国から数企業、ローカルベンチャーラボ現役生に修了生など多数。

10月には先進地として知られる岐阜県郡上市に島根県雲南市のメンバーを中心に12名が集まり、フィールドワークを実施しました! 今回、「森あそびラボ」にプロボノとして参加させていただいた佐伯文佳(ロート製薬株式会社)がレポートさせていただきます。

日本屈指の名水の町・郡上八幡に残された森林との共存の知恵に触れる1日目

今回のフィールドワークのテーマは、「山林資源(空間等も含む)を活用した関係人口づくりと、関係人口も巻き込んで山林を自分たちで守る(自治)事例を学ぶ」です。

1日目および2日目は、郡上市を流れる長良川の源流を活かした企業研修を体感するため、一般社団法人長良川カンパニーの皆様にお願いをして、12人のメンバーを一つの企業のメンバーとして、同市内の明宝(めいほう)地区で企業研修を行っていただきました。また、3日目は石徹白(いとしろ)地区でエネルギー自治や森づくりについて学びました。

1日目、まずは人と自然が共存する場所として郡上八幡市街を散策しました。郡上市域は豊かな自然が残され、長い歴史によってさまざまなものが育まれた地域ですが、特に郡上八幡市街地は山と川に囲まれた城下町で、町の骨格が変わることなく現代に受け継がれているエリア。建物は町家建築で建てられています。

また、郡上八幡は日本屈指の名水の町として知られています。この町では山水や湧水を各家庭に引き込み、古くから伝わる独特の方法で水を利用しています。

その一つは、「水舟」と呼ばれる階段状の水槽です。湧水や山水を引き込んだ二槽または三槽からなる水槽のうち、最初の水槽が飲用や食べ物を洗うのに使われ、次の水槽は汚れた食器などの洗浄に使われます。そこで出たご飯つぶなどの食べ物の残りはそのまま下の池に流れ、飼われている鯉や魚のエサとなり、水は自然に浄化されて川に流れこむしくみになっています。

郡上八幡特有の階段状の水槽による水利用のシステム「水船」

また、水路を用いた「カワド」と言われる共同洗濯所があり、簡単なすすぎ洗いに使われています。そのほかにも、まちを案内してくださった由留木さんから様々な水の活用方法、火災に備える方法や人と川の触れ合いなどについてお聞きしました。参加者からは、観光と町の人たちの生活が共存していること、水と密着した生活に驚きの声が上がっていました。

その後、民宿しもだに移動してからは、今回の研修の内容の説明を受け、研修プログラムに入っていきました。夕方にはサウナと気良川の水、夜空を堪能し、拝殿でのワークショップ等に参加しました。

長良川の最上流にある森で、森あそびの2日目

翌日2日目は、朝の散歩をした後に、ノートを使って個人で心の整理を行いました。その後、今回の研修の目玉である、長良川の支流である吉田川の最上流部、明宝地区の水沢上と呼ばれるエリアにある森に伺いました。

森の中では、焚き火、巻き割り、ツリークライミング、シャワークライミング等々、メンバーがそれぞれ森を楽しみました。また、森の良い部分だけではなく、森と人がうまく共存しきれなかった治水のお話も伺いました。午後はリジェネラティブWSと旅の振り返りを行いました。

夜のワークショップでは3つのグループに分かれて、森遊びの未来についての寸劇を作り、披露しあいました。各グループで違う見方で、それぞれの未来を表現しており、また各グループのメンバーの森遊びへの思いがよくわかる、面白いWSとなりました。

神に仕える人が住む村だった石徹白集落で、エネルギー自治を学ぶ3日目

3日目は石徹白地区に移動しました。石徹白は、日本三名山に数えられる白山の周辺に広がる白山国立公園の南山麓に位置する集落で、標高700メートルの高地にあり、夏は涼しく冬は毎年3メートルを越える雪が積もる地域です。

また、白山信仰が盛んな時代には修験者の出入りで栄えた土地であり、明治まで神に仕える人が住む村としてどの藩にも属さず、年貢免除・名字帯刀が許されていたそうです。

この日は、石徹白の集落に伝わる直線裁断の野良着を現代の暮らしに沿うようリデザインした服作りをしている石徹白洋品店の店主・平野さんに、白山中居神社、小水力発電、冒険の森、フジミ森づくりのフィールドおよび石徹白洋品店を案内していただき、白山信仰や石徹白の森林活用に関するお話をお聞きしました。白山からつながる様々な世界や、石徹白の今、未来の森を知ることができました。

今回の郡上市の視察では、自然を介して人と資本が循環できる仕組みづくりを学ぶことができました。また、「森遊びラボ」の今後の方向性を見極めることができたと思います。

「森遊びラボ」は活動がさらに面白くなっていくと思いますので、今後の活動にもぜひ注目いただければと思います。

最後に今回のフィールドワークでお世話になった皆様に、感謝を申し上げます。

レポート:佐伯文佳(ロート製薬株式会社、「森遊びラボ」プロボノ)