EVENT/REPORT 19.07.19

「ハードに転ぶけど、それでも病みつきになるのが女川町」。七転び八起き酒場 第6夜目・NPO法人アスヘノキボウ 小松洋介さん

地域のソーシャルビジネスの最前線で活躍するゲストを週替わりで迎え、お酒を飲みながら語り合うNPO法人ETIC.でのプレミアムイベント「七転び八起き酒場」。講演会では聞けないようなソーシャルイノベーターたちの失敗談とそれらを乗り越えてきたエピソードから、地域社会における社会課題解決の本質を学びます。

第6回目のゲストは、NPO法人アスヘノキボウ(以下、アスヘノキボウ)代表理事の小松洋介さん。東日本大地震を契機に生まれたアスヘノキボウでは、宮城県女川町を拠点にまちのビジョンや計画を地元の方と一緒に描き、作成し、「ひとづくり・組織づくり」と「産業活性化」を実現させることで地域の変革に寄与することを目的に活動しています。アスヘノキボウが企画し立ち上げた被災地初のトレーラーハウス宿泊村「エルファロ」は、耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

さて、今宵の1転び目は、悩みつつも進めていた被災地での独立準備でしたが、とある出来事がきっかけで勤めていたリクルートを勢いで辞めることになったというエピソードを。幼い子どもを抱えた奥さまには事後報告になってしまい、もちろん「何を言っているのか」と奥さまは怒り心頭、親族に厳しい目を向けられながらも、最終的には「半年は挑戦してもいいけれど、何も形にならなかったら普通に働きなさい」と背中を押してもらえたと言います。

「なんとか場は収まったけれど、ある日突然に感じられる決断の方法はいけないな、日々匂わせなきゃいけないということを学びました」と小松さんも苦笑い。

2転び目は、最初に前職の先輩につけてもらったという驚きの肩書について。信頼して名刺作成を依頼したのだそうですが、「被災地復興の黒子 〜主役は住民のあなたたちです」と書かれた名刺が出来上がり度肝を抜かれたそう。あまりのインパクトに閉口しつつも使わないわけにもいかず、ある人にはやっぱり怪しまれて距離を置かれ、ある人には大笑いで受け入れられながら名刺を配り歩いたと笑いながら語ってくれました。

3転び目は、女川町に関わり始めた当初、急に現れた謎の男としてスパイ疑惑をかけられてしまった(!)というエピソードを。被災直後で沿岸部に宿がなく、復旧活動に支障が出ていることからトレーラーハウスの宿を作ろうと思い立った小松さんでしたが、数カ所の自治体に掛け合って最初に受け入れてくれたのが女川町だったと言います。実は女川町側も宿の必要性を話し合っていた直後の提案だったそうで、あまりのタイミングの良さと、その後小松さんが頻繁にパソコンで会議中に議事録をとっていたことからそんな疑惑を持たれてしまったのだとか・・・。

「自分は何者でこんなことができるんだという丁寧なコミュニケーションがもっと必要だったんですよね」と語りながら、最終的には5億規模の事業になったというトレーラーハウスの立ち上げを成功させ、見事スパイ疑惑は晴れたと教えてくれました。

4転び目は、当初は町の皆さんに負担をかけることも知らずに迷惑をかけてまったというエピソードを。まだ町に馴染みの薄い自分がよかれと思ってよそ者を漠然と町に連れてきて紹介しても、忙しい町民にとってはありがた迷惑だったのだそう。

「町の皆の日常的な会話をよく聞いて、今誰が何に興味がありそうかを洗い出してしっかりマッチングさせなくちゃいけなかったんですよね。地域の人たちが何を考え求めていてそこにどう繋げられるか繊細にデザインしないと、簡単に信頼を損なってしまう。コーディネートするってとても怖いことです。でも、失敗しても黙って離れていかないで、自分を囲んで毎度反省会をしてくれるのが女川町の良いところなのですが(笑)」と、最後は女川町自慢にまでつなげてくれました。

残る3転びも、なかなかハードな転びだった小松さん・・・! 最後の感想タイムでは「思ったより“血だらけ”な転び方で驚いた」なんていう参加者からの言葉も。とはいえ、溢れんばかりの女川町愛に参加者皆が女川に行きたくなった6回目の夜でした!