INTERVIEWLOCAL VENTURE LABLVL OBOG 19.02.20

好きなことは何? そう自分に問い直した結果、 自分の仕事が生まれました。

  • 第1期生

Wans Laugh(ワンズ・ラフ)

小田明さん

島根県出身、東京都在住。大手通信会社にて勤続30年超。50歳をむかえ、第2の人生を考えようと故郷島根県へのUターン準備中にローカルベンチャーラボと出会う。2018年、トヨタ自動車(トヨタ)が主催する「フォレストチャレンジ森あげプロジェクト」に選ばれる。現在は都内で働きながら、「フォレストチャレンジ」の一つとしてWans Laugh(ワンズ・ラフ)という森のドッグイベントを運営する団体のチャレンジを続けている。

今後の人生を考えたとき、
故郷でずっと働ける自分の仕事を
つくりたいと思ったんです

LVLに応募した当時のお仕事を教えてください

現在も勤めている通信会社で働いていました。もう勤続30年超になります。

 

どのようなきっかけでLVLと出会い、どんなことを期待して申し込まれたのですか

もう53歳になるのですが、50歳になったときにそろそろ次の人生を考えないといけないなと思い、今後起こり得る親の介護のことも考え出身である島根県へのUターン準備を始めたんです。じゃあ戻って何をしようかと考えたとき、どこかに再就職するイメージはわかず、次は定年関係なしにできる仕事を見つけたいと思いました。

とはいえ、島根には年1回の帰省くらいで深い関わりがなく地域のことがまったく分からない状態だったので、まずは情報収集しようといわゆる島根県のUIターンフェアなどに顔を出してみたのですが、何か違うなと感じてしまい……。手探りながら半年間色々とインターネットで情報を探っていたところ、島根県と雑誌の「ソトコト」がコラボ開催している「しまコトアカデミー」にたどり着き、半年間島根をフィールドに地域との関わり方について学ぶ機会を得ました。

「しまコトアカデミー」では、良い意味で自分のこれまでのイメージとは違う、若者が生き生きと活躍している姿を知ることができましたが、ビジネスを考えるというよりは地域と関わってまずはコトを起こすというプログラムだったので、さらに地域でのビジネスのつくり方を学んでいきたいと思っていたとき、お世話になったソトコト編集長の指出さんがメンターとして参加されるLVLのお試し講座の存在を知ったんです。
日経新聞共同開催の短期講座だったのですが、そこに参加して日本全国で活躍されているリーダーの方々の存在を初めて知り、貴重な話を聞く機会に恵まれました。企業の中でずっと生きてきた自分にとってローカルの世界は本当に知らないことだらけだったので、ゲストの方々が話す地域の可能性やそれを実現しようとする姿に大きな刺激を受け、この講師陣から学べる場ならば絶対に参加しようと、LVLへの申し込みを決めました。

 

「地域のために」ではなく、
「好きなこと」を地域で仕事にする。
そうした考えに変わっていきました

どのような起業プランを考えていたのでしょうか

日本中の山の元気がなくなってきていることが気になっていたので、荒れ放題の山をうまく活用して人と森林の関係性を深めたいと思い、木工での食器づくりワークショップや森のウォーキング、森林ヨガなどをコーディネートできないかと最初は考えていました。今取り組んでいるのはワンコ(犬)と飼い主の森林トレッキングなので、全然違いますね。

 

LVLで印象的だったことを教えてください

LVLの学びも後半になり、いよいよビジネスプランに落とし込むことになったとき、メンターの牧さん指出さんとラボ生の全員が集まり、月に一度自分のプランをブラッシュアップする機会を持っていました。そのとき牧さんに「小田さんの強みはなんですか?」と問われ続けたことは印象的でしたね。最初は本当にありきたりなプランを作っていて、「この年齢で、たとえば木工などの経験があるならば別だけれど、これからどうスキルを身につけていくのか。もしくはそうしたスキルを持つ人にどうジョインしてもらうのか」と鋭いツッコミをもらい、明確に答えられない自分に悶々としていました。

最終発表の時点でもまだ半分は木を使ったものづくりで森と人の暮らしをつなげていきたいと思っていたんですが、最終発表ひと月前に指出さんがゲストとして登壇されるというのでトヨタが主催する「フォレストチャレンジ」の説明会イベントへ伺ったんです。それはトヨタが所有する三重宮川山林を舞台に、林業だけではない新たな視点で森を活用するビジネスプランを募集するというもので、自分以外に参加されている方が専門性を持ったすごい方たちばかりだったのでどうせダメだろうと思いつつ、それならば自分一人では絶対に実現できない思い切ったプランを出してしまおうと、ワンコと森をつなげるビジネスプランを提出しました。

既存に似たようなビジネスはないので正直選出の可能性は数パーセントもないだろうと思っていたのですが、そんな予想に反して一次をパスし、2018年の1月に行った現地での最終プレゼンを経て採用が決まりました。この結果には自分でも驚いていますが、LVLでの最終発表の際に口頭でこのプランのことを軽く伝えたところ、牧さんは「人よりも犬の方が断然おもしろい」とおっしゃっていました。

 

メンターの存在は小田さんにとって相当大きなものだったのですね

はい、本当に。牧さんがおっしゃっていた言葉で自分の考え方に大きく影響したのは、「地域のために」とか責任感から入るのではなく「好きなこと」から入ることが大事という話でした。地域で仕事をつくろうとすると、責任感から地域資源を活用しなきゃとか、動機としても地域のために頑張ろうとか、考えなければいけないように思い込んでしまいます。けれど牧さんは、「そうした考えは大事にしなくていい。好きだから継続できる、継続するから本物になる、本物になるから生き残っていける」と新たな視点をくれました。

実際、私は島根のことを考え森林の事業に取り組もうと思っていましたし、発表用のパワーポイントは最終的に“きれいな絵”にできあがりましたが、魂が入っていないわけではないですけれど、自分の本当の思いがそこにしっかりと入っていないのでは?と感じていたんです。だから自分自身に「好きなことってなんだろう?」と何度も問い直したとき、出てきた気持ちが「ワンコと一緒に仕事ができたらいい」というもので、結果今の自分があります。

 

自分の強みと視点を活かして
サービスを生み出していく

LVLに参加前と参加後で、どのような変化がありましたか

仕事柄かもしれませんが、どうも物事を体系的に考えようとしがちで、そうしたモノを見て表現する視点が変わってきたように感じています。
たとえば森林ビジネスに携わろうとしたら、これまではまず森に関連するもの――林業や木工、自然環境維持、水源確保、鳥獣対策であるとか、そうした全体を整理したうえで自分は何に取り組むのかを決めるという考え方をしていたのですが、メンターのお2人に「小田さんは何をやりたいの?どういった関わりでそのビジネスを進めるの」と問われた途端に、スムーズに次の言葉が出ない自分にもとかしさを感じていて、そうした部分が最終的に「好きなことってなんだろう?」と考えはじめたことで変化していったように感じています。

 

今挑戦している活動を教えてください

Wans Laugh(ワンズ・ラフ)という、トヨタが主催する「フォレストチャレンジ」から生まれた森のドッグイベントを運営する団体を主催しています。ワンコと人が一緒になって楽しめる体験、とっておきの思い出のための空間づくりを目指しています。

最近は一人でサービスの舞台になる森林を歩いては良いフィールドを発見しているのですが、そうした発見をお客さんに提供するときにはすべてワンコ目線に変換することに決めていて、林業の常識はまったく考えないようにしているんですよ。これは実は、LVL中にずっとメンターの指出さんに言われ続けた「ミクロな視点で物事を見る」という言葉からヒントをいただいているんです。

愛犬家ならではの視点で、ワンコたちの愛らしい瞬間を切り取ることを追求

お恥ずかしい話、この言葉の本質が中々理解できず今でも考え続けているのですが、今回こうしたかたちで自分なりの答えを出しました。また、私有林であるという利点を活かしてドローンでワンコとお客さんが楽しんでいる様子を動画と写真で撮影してお渡しするというサービスを考えたのですが、こちらも指出さんの言葉をヒントに生まれたものです。自分なりにこうした角度からワンコを撮るとおもしろいんじゃないかという視点にはこだわって、ご協力いただいているドローンのプロの方にお伝えしながら映像づくりを進めています。
好奇心をもって「本当に好きなこと」をやっていると、日々新たな発見があります。2018年の秋には4回にわたりワンコの森遊び体験会(モニターイベント)を開催して、お客様向けに思い出写真を撮影したのですが、ワンコとそのご家族の「自然な笑顔」がたくさん撮れたんです。当初は森の中で生き生きと遊んでいるワンコの姿をメイン写真に考えていたのですが、実際やってみると森の中での笑顔の写真の方が最高に良かった。あぁ、自分がやっていることは森という特別な空間をつかって、普段なかなか体験できないドキドキする冒険の場をつくり、その体験を通してお客様が愛犬との絆を深めていただくことだったんだなぁとつくづく思いました。

 

LVLに参加する方へメッセージ

地域にはチャレンジできる環境とチャンスが溢れています。そこでぜひ「好きなこと」を見つけて下さい。そしてそれをまずは「やってみる!」こと。失敗や反省もたくさんありますが、まずは行動することで小さなチャンスでもぐっと実現に近づくと思います。 ローカルベンチャーラボにはそんな皆さんの思いと行動を真剣に応援してくれるメンター陣と仲間がいます。