INTERVIEWLOCAL VENTURE LABLVL OBOG 20.02.21

「楽しい!」を大切にできるようになったら、事業のアイディアが湧き出るようになりました。

  • 第3期生

株式会社ローカルフラッグ代表取締役

濱田祐太さん

関西学院大学在学中。地元京都府与謝野町で、魅力的な雇用と地域課題解決をもたらす持続可能なまちづくりに取り組む。現在はまちの人事部として地域企業と都市部人材の兼業マッチングを進めつつ、与謝野ホップの6次化と天橋立の環境問題を解決するビールを作るべく挑戦中。

「中間組織として」から、「自分自身が」挑戦できることを模索して

LVL参加前はどのような活動をされていましたか?

高校生のときから地方創生に関心を持っていたので、関西学院大学に在学しながら地元の京都府与謝野町でNPO法人「TEAM旦波」の理事として活動していました。具体的には大学生向けのインターンシップ事業、都市部人材と地元企業をマッチングするプロジェクトを推進していました。

どのようにLVLと出会われたのでしょうか。

LVLの事務局をしているNPO法人「ETIC.」が運営するイノベーター育成の私塾「MAKERS UNIVERSITY」に参加していて、そこで紹介されました。「MAKERS UNIVERSITY」では起業家としての在り方、ファイナンスについては勉強できたのですが、実際に地域で活動している先輩たちとはあまり繋がりが持てなかったんです。また、LVL参加中の2019年7月にまちづくり会社株式会社ローカルフラッグを立ち上げたのですが、この会社を作ることは参加前に決まっていて、さらに地域に根ざしていくための学びを得るため、このタイミングでの参加を決めました。

具体的には、半年間にどのような期待を持たれていましたか?

一つは、与謝野町をLVL運営団体であるローカルベンチャー協議会の参画自治体のようにしていきたいと考えていたので、協議会の人たちとのつながりを作りたいと考えていました。

もう一つ、実は自分の中で「人材の流れを作るだけで町は変わるのか? 自分自身もっとやれることがあるのではないか」と疑問に感じ始めていた時期だったんです。当時、協働先は人材を受け入れるだけの余裕がある企業や行政に限定されがちでしたし、もし自分たちが自主事業で資金調達できれば成功報酬型のマッチングだって推進できるかもしれないと考え、そうした違和感に向き合い地域課題を活かした新規事業づくりを学ぶため、地域での人材育成と自主事業の双方に挑戦している株式会社エーゼロのお二人がいらっしゃる「地域を活かすビジネス創造テーマラボ」でのエントリーを決めました。

では、最初はどのような事業プランを描いていたのでしょうか。

参加前はモヤモヤしていただけで具体的なプランは考えられていなかったので、「TEAM旦波」の理事として地域に人材の流れを生み出して地域をローカルベンチャーのチャレンジで満たしていくというプランでエントリーしました。半年後に完成したプランとは全く違いますね(笑)。

一番面白かったのは、参加者の属性の多様さでした

半年間の中で印象的だった出来事を教えてください。

一つ目は、岡山県西粟倉村でのフィールドワークで村のローカルベンチャー第1号と呼ばれている株式会社木の里工房木薫(もっくん) 代表取締役 國里哲也さんのお話を伺ったことでした。僕は最初エーゼロの牧大介さんが全てを立ち上げた人だと思い込んでいたのですが、彼の話を伺って「覚悟を決めてこの町でやるんだという人間が一人でもいたら、その火種が大きくなって地域にプレイヤーが増えていくんだ」と気づくことができました。

國里さんを囲んで
メンターの牧さんと、村の資源である森林を視察

二つ目は、内閣府の村上敬亮審議官によるファイナンス勉強会ですね。開講式での村上さんのミニ講義を聞いて、さらに詳しく学びたいと僕が主催したラボ生限定の勉強会だったのですが、真正面からファイナンスに向き合ってローカルベンチャーだって成長戦略を持って儲けないといけないと語る村上さんのお話からローカルベンチャーだって“ベンチャー”であるということが意識づけられましたし、ファイナンスに向き合っていきたいと思えるようになりました。

メンターやファシリテーター、スタッフとの思い出深いエピソードはありますか?

ファシリテーターの花屋さんには本当にお世話になりました。花屋さんのメンタリングを通して明確に自分が変わったと思っているのは、「面白い、楽しい、ワクワクする」という感情をより大切にするようになったことです。花屋さんからそうしろと言われたわけではないのですが、やりとりをする中で「楽しいことをやろう、自分がやりたいと思えることをやったらいいよ」と節々でおっしゃっていて、気がついたら自然と自分もそう考えるようになっていました。参加前は地域の課題を解決しなければ自分の町が終わってしまうんだと肩肘張っていたのですが、今ではそうした意識を持ちつつも“ポジティブなやりたい”が同じくらいにある状態ですね。

また、事務局のスタッフの皆さん、関係者の方々には度々相談に乗っていただきました。何かあったときに相談できる関係性の人がたくさんできたことは、本当にありがたかったです。

同期の皆さんとは記憶に残っているエピソードなどありますでしょうか。

個人的にはLVLの一番面白かった部分は、参加者の属性が全く違ったことだと思っています。サラリーマンの方もいれば、家庭を持ちながら個人事業をされている方、学生もいて、それぞれ違った葛藤を抱えていたんですよね。それこそゼミのメンタリングは、色んな人の人生を追体験しているようで印象的でした。

「地域を活かすビジネス創造テーマラボ」には会社を辞めたいんだけれど家庭もあると葛藤している方がいて、その中で自分は何をやりたいのかと模索している姿を見ながら、自分はこのまま進めば起業家同士で相談し合うことはあってもそれ以外の人たちの相談を聞く機会は滅多に訪れないだろうと感じ、これから町でUターンして起業をしたいのだという人を受け入れるときのためにもこの場が重要な意味を持つと思いました。また、皆さん年上なんですけど、他の場所で出会う年上の人とはまた違い、仲良く喋れたこともよかったです。場を取り持つ花屋さんがフラットだったからかもしれませんね。

ワクワク×地域資源の視点が生まれて、アイディアが湧き出るようになりました

最終的にはどのようなプランが残りましたか?

牡蠣の殻という地域資源を活かし、飲めば飲むほど海が綺麗になるビールという商品を考えました。与謝野町は日本三景の天橋立の隣にあるのですが、この天橋立の左側の阿蘇海という海では内海でプランクトンが大量発生し牡蠣が大量発生、消費しきれず山積みになり、その牡蠣の悪臭が地域課題になっているんですね。この牡蠣殻をなんとか活用できないかと考え、チョークや漆喰などの可能性を見つけたのですが、どうせなら自分の好きなビールで作れたら楽しいのにと思い調べてみたところ、広島では牡蠣の殻を使ってビール醸造をしていることを発見したんです。しかも幸運にも与謝野町ではビールの原料であるホップの栽培を5年前から始めていて、年間1tの収穫量がありました。つまりこのプロジェクトは、地域のホップ6次化と環境問題解決を兼ね合わせているんです。

目指すは初年度6万リッターの醸造、6千万の売り上げです。5年かけて年間8万リッター、売り上げ1億円、400kgのホップを6次化、8tの牡蠣殻のビジネス利用を達成していきたいと思っています。観光需要が高まっている京阪神エリアでの販売を視野に入れていますが、3千万の初期投資にはまだまだ資金が足りていないので、実現に向けて模索している最中です。また2020年夏くらいまでには、クラウドファンディングにも挑戦する予定なので、そのときはぜひお力を貸していただければと思います。

LVLに参加前と参加後で、どのような変化がありましたか?

先述したように「好き、面白い」といった自分の感情を大切にできるようになった結果、自分が面白いと思えるものと地域資源を掛け合わせる視点が持てるようになり、参加前とは事業内容が大きく変わりましたし、事業の種になる発想がどんどん湧き上がるようになってきました。ビールの次に挑戦したいことも、もう決まっているんですよ。与謝野町は丹後ちりめんという繊維産業が集積している地域で、来年は丹後ちりめん300周年迎えるんです。後継者に困っている工場も多いため、丹後ちりめんにまつわるプロジェクトを仕掛けられたらと考えています。また「こうでなければ」という感覚が薄まったことで、人当たりもよくなったのではと思っています(笑)。

さらにファイナンスの面でも、積極的にビジコン等々に挑戦したりと増資に向けて話を進められています。「MAKERS UNIVERSITY」では周囲が資金調達を成功させる中、スタートアップビジネスではなく上場も売却も予定がない中でどうリターンしていくのかイメージを持てずにいたのですが、半年間の学びを経て地方創生ファンドとの協働など様々な選択肢を具体的に持てるようになりました。また、自分の町に対して覚悟をもってフルコミットする決意も、より一層固まりました。

今挑戦している活動を教えてください。

今後中間支援とプレイヤーの両面を持ち合わせた存在になっていきたいと思っていて、まずは半年間で作ったビールのプランを実現すべく動いています。また、今年は町の人事部を担っていく話が動いていて、地元企業の研修や町への第二新卒・中途採用のコーディネートも担っていければと思っています。

目指すはエーゼロと、西粟倉村ですね。皆が何歳でもポジティブに生きている町にしたいと考えていて、ポジティブに生きるためには町にチャレンジや頑張っている人の姿があることが必要だと思っているので、その部分を頑張っていきたいと思っています。そうすれば、自分の町のことは自分で考え責任を持って行動する人が増えていき、人口は減っても町は長く続いていくのだろうと思います。

また、個人的に20代をかけて挑戦したいと思っていることは、若者が本当の意味で地域でチャレンジしやすくなるように一石を投じることです。若者が地域に移住する流れは生まれてきているものの、協力隊など用意されている場所に入っていくケースが大半で、何もないところから事業を起こしていくケースはまだまだ少ないと感じています。周囲にも「自分の町でできるならやりたいけれど、それが叶わないからまずは勉強のために別地域に移住する」と語る人が大半です。でも、一番覚悟を決めて頑張れるのは自分が好きな町ですよね。だからこそ自分が事例になっていかなくてはと思っていて、そうして「あの町では学生でもゼロから挑戦して成果を出しているから、うちの町でもプレイヤーがいないと嘆くくらいだったらやる気のある若者にやらせてみるか」という流れを生み出せたらと思っています。

LVLに参加する方へメッセージ

LVLの機会を活かすも殺すも自分次第ではあると思いますが、地域でベンチャーを立ち上げていきたいと考える人にとっては絶好の機会であると思っています。 世の中には様々な起業支援プログラムがありますが、自分の好きな地域を舞台に、ベンチャー的な成長戦略を持って事業に取り組んでいくことを後押しするプログラムはLVLくらいなのではないでしょうか。また、地方創生の第1線を走るメンター陣がいるというのも大きな特徴だと思います。ラボ生だからこそ色々と相談ができたり、視察などにも行かせていただきました。 ただ参加するだけでは何が得られるかわかりませんが、積極的にラボの仕組みや関わってくださる方々のネットワークを活かせば、必ず自分自身の事業プランの成長に繋げられると思っています。ぜひ、LVLの場を活用していただければと思います。