INTERVIEWLOCAL VENTURE LABLVL OBOG 19.03.18

必要なのはまず地域と向き合うこと。 そこから進む道は見えてきました。

  • 第1期生

西和賀産業公社

藤原朝子さん

岩手県西和賀町出身。2015年3月に地域おこし協力隊として西和賀町にUターン。同年9月から西和賀デザインプロジェクトユキノチカラのサポートを担当、町の事業から西和賀産業公社に事業が引き継がれるタイミングで同社に就職し、現在は西和賀産業公社にてふるさと納税とユキノチカラを担当している。

補助金の3年間を終えても、プロジェクトを続けたい。
町からの後押しもあって参加を決めました。

LVLに応募した当時のお仕事を教えてください

地域おこし協力隊として地元の岩手県西和賀町に戻り、3年目を迎えたタイミングでした。西和賀町では2015年9月に西和賀デザインプロジェクト「ユキノチカラ」を立ち上げていて、私はそこにサポートとして関わらせていただいていました。

取り組み内容としては、西和賀町の事業者、岩手県内在住のデザイナー、北上信用金庫が連携しながら地域資源とデザインを掛け合わせた商品・サービスを作り、情報発信、人材育成などを進めるものです。地方創生の補助金を使いながら日本デザイン振興会さんが主に企画を進めていたのですが、補助金には3年間という期限があり、今後プロジェクトを継続させていくための課題に取り組むためにLVLに参加しました。

どのようなきっかけでLVLと出会いましたか

私はETIC.の存在やLVLは知らなかったのですが、ユキノチカラを担当していた日本デザイン振興会の鈴木紗栄さんに一緒に参加してみないかと誘われたんです。これから西和賀に地域商社を作れたらという思いもあり、人材育成の一環としてプロジェクトの費用を使い参加することになりました。

また当時、協力隊として雇われていながらも在籍は第三セクターの西和賀産業公社で、今後プロジェクト自体も町から公社の運営に移行していく方針になっていたこともあり、私自身も協力隊終了後は公社に就職を予定していたんです。そこで個人的にも、今後のために地域商社についての知識をつけたいという気持ちもありました。

今まで勉強してこなかった分野でついていけるのかとか、地域を点々とフィールドワークすること、費用面での不安もあったのですが、紗栄さんの後押しとプロジェクトが費用負担をしてくれるということで参加を決めました。

LVLにどのようなことを期待して申し込みましたか

あまり想像がつかなかったので、すべてにおいて期待はしていたのですが、メンターの畦地履正さん(株式会社四万十ドラマ代表)、ファシリテーターの小松志大さん(気仙沼市役所産業再生戦略課)にお会いできるというので、どういう話が聞けるのか楽しみでした。

メンターからの鋭い一言が
プロジェクトを変えていきました。

どのような起業プランを考えていたのでしょうか

目標は大きくというところで、最初は西和賀で地域商社を作るという起業プランを紗栄さんと考えていました。

LVLで印象的だったことを教えてください

紗栄さんとも今でもよく話すのですが、畦地さんにユキノチカラに対して言われた「おまんらデザイン先行型やんか」という一言が印象に残っています。

ユキノチカラでは県内の6人のデザイナーと町内のお菓子屋さんなどの事業者が協力し合い新たな商品を開発していたのですが、売る相手のことを考えるよりもデザイン先行で商品開発が進んでいて、販売先や販売方法、商品価格の設定などはデザイン決定後に後回しにされ、結果うまくいかなくなっていた部分があったんです。そうしたこともあり、畦地さんにその一言をいただいてからは次の商品開発ではまず売りたい相手のことを考えてからデザインに取り組まないといけないねと話すようになりました。

また、地域商社の本質は「生産を本当に知り、それを活かすことにある」ということも一貫して言われ続けました。“誰が、どのように、どんな思いで作っているのか”ということを知らなくてはいけない、と。 
自分たちの地域にとって、どんな食材を使うことがより地域を活かすことになるのか、ということを考えるためには、まず町のことを深く知っていくことが大事だと気づかされて、勉強不足を感じました。とにかくそうしたフィードバックがある度に、次の回までには地域の生産者の方たちと関わりながら修正していくようにしていましたね。

メンターやラボ生同士との関係性はどのようなものでしたか

メンターの畦地さんはストレートにアドバイスをくださり、それを受けて少し落ち込んだところをファシリテーターの小松さんが細かくフォローしてくださるという印象でした。また、ETIC.コーディネーターも含め、ラボ生の目線に合わせた質問を投げかけて私たちの答えを引き出すようなアテンドをしてくださいました。まったく威圧感がなくて、ラボ生の気持ちをすごく大切にしてくれていたなと思います。

LVLに参加してる人には、自分なりの面白い感覚を持っている人が多いと思います。地域で過ごしていると周囲と考え方が違うと否定されたり偏見を持たれることもあるので、一人ひとりの意見が尊重されて実際にどう形にしていくかを考えられるLVLはとても貴重な場でした。また、そこにあるのは優しさだけではなくて、参加者同士で「でもそれはうまく回るの?」といったフィードバックをしあうなど、時には厳しい視点も持ちながら個性を生かしてくれる場所だったのかなと思います。

頼もしい仲間の姿に感化され、
自分のビジョンも気持ちもクリアになっていく。

LVLに参加前と参加後で、どのような変化がありましたか

畦地さんからは商品開発について直接的なアドバイスをいただくことが多く、西和賀町でわらび餅を食べてもらったときに「これでいけ!」と言われたのをきっかけにワラビに着目した商品開発を考え始めました。その後も西和賀の乳製品業者と協同することやワラビの根から採れるわらび粉を商品にすることを提案していただき、そのたびに一つずつ形にしていきました。

また、途中ラボの皆からいっそのこと二人で独立して想いを込めた企業をつくってはどうかというアドバイスも受けたのですが、ここまで町の皆で育ててきたプロジェクトなのだからこれからも町として育てていこうと今後の自分たちのビジョンも明確にすることができました。そしてこれからは食品以外の産業においてもより多くの事業者さんたちに関わっていただき、一人ひとりが自分事として地域の魅力を発掘していけるような仕組みを作っていこうと思うようになりました。

気持ちの面でも大きな変化がありました。実は最初は声をかけてもらっての参加で気楽に構えていた部分があったので、回を追うごとに学んだことを自分たちの手で形にしていくことへの不安や焦りが出てきていました。でもそんな中でラボメンバーの「地域のために自分ができることをやっていきたい」という気持ちに触れたことで自分ももっと真剣に地域と向き合っていこうと思うようになっていきました。

また同時に、物事を進めるときには不安で考えを巡らせてしまうタイプだったのですが、LVLを通してメンターの畦地さんや小松さんがやりたいことを楽しそうにやっている感覚が伝わって来て、私も楽しんで活動していこうと思えるようにもなりました。

2人で参加したことで良かったことはありますか?

お互いの能力を補い合いながら進めていけるので助かっていました。まず紗栄さんがいなかったら最初から参加しなかったですし。

また、畦地さんに言われたのですが、企画の内容を考えるうえで「中の人」と「外の人」という考え方があり、私は西和賀、紗栄さんは東京が活動フィールドなので、そんな2人が一緒にアイデアを出し合っていけば良いものが生まれるんじゃないかという視点をいただいて、まさにその通りだなと思いましたね。

今挑戦している活動を教えてください

今は産休・育休中で、デモデイで発表したことをまだ形にできてないのと、発表したことをどう現実化するかという課題もありますが、来春からは紗栄さんも西和賀に移住することになっているので、ユキノチカラを町のブランドとしてもっと大きくしていけたらと思っています。

自分たちの想いや事業者さんたちの想いを共有し合いながら今後の町を考えていけるような地道な話し合いをこれからも重ねていきたいです。それに、何かあったらLVLで出会えた仲間たちに頼ってみようかなと思えるので、心強く感じています。

LVLに参加する方へメッセージ

参加前の私は、今の自分がLVLに参加してついていけるのかという不安を一番持っていました。でも参加して思ったのは、ついていけなくても恥ずかしいことではないし、むしろ「自分に何ができるか」ということとしっかり向き合えた時間がつくれたと思っています。一人ひとりスタート地点は違っていて全然いいんだと思います。また、参加して良かったと思えるのは地域のために頑張っている仲間ができたことです。フィールドが東京であれ地方であれ同じ思いを持った仲間ができたことは、今後壁にぶつかっても頑張れる糧になるはずです。もし今、私と同じような不安を抱えて参加を検討されている方がいたら思い切って参加してみてほしいと思います。