INTERVIEWLOCAL VENTURE LABLVL OBOG 19.03.28

「ソーシャル税理士」として独立するビジョンが確立した場でした。

  • 第2期生

ソーシャル税理士

金子尚弘さん

1987年、愛知県豊橋市生まれ、名古屋市緑区在住。豊橋商業高校から立命館大学、大学院を経て名古屋市の税理士法人に勤務し、2018年10月にソーシャル税理士として独立開業。NPO育成プログラムのコーディネーター、NPO法人理事などの経験も。NPO、ソーシャルビジネス、スモールビジネスのお金・税金はもちろん、経営理念や事業計画の相談まで幅広く受付中。

税理士として
非営利団体のお金の流れを学び、
地域に還元したかったんです

LVLに応募した当時のお仕事を教えてください

当時は名古屋にある200人規模の会社で税理士として働いていました。

どのようなきっかけでLVLと出会いましたか

学生時代にNICEという国際ボランティアのNGOに関わっていたこともあり、以前から岐阜を拠点にして長期実践型インターンシップを実施しているNPO法人G-netに何度かお世話になっていて、そこからETIC.の存在を知りました。その後、ETIC.に勤める友人を通してLVLの存在を知りました。

LVLにどのようなことを期待して申し込みましたか

名古屋の有松という地域があって、現在ソーシャル税理士としてのフィールドの1つにしているのですが、そこでのまちづくりの活動に活かせる知識を身に付けられればと思っていました。

有松は古民家が多く空き家が増えはじめている地域なんですが、もとは東海道沿いの宿場町で、そうした資源を活かして地域の課題解決に取り組んでいこうという動きが周囲の有志たちとの間で起こりはじめていたんです。会社では税理士として主に民間企業に関わっていたのですが、NPOやソーシャルセクターならではの寄付や資金調達の方法などについて知識を増やし活動に力を還元できたらと思い、お金の流れデザインテーマラボに参加することを決めました。

メンターという心強い相談相手と
刺激し合える同期とともに、
自分自身と向き合いプランを深めていく

LVLで印象的だったことを教えてください

熊本県南小国町と岩手県釜石市へのフィールドワークに参加したのですが、南小国町の黒川温泉では地域の人たち全員で自分たちの地域ならではの資源をしっかり守っていこうと行動を積み重ねている姿に触れ、その在り方に好感を持ちました。また地域でのDMO(Destination Management Organization)の話を伺い、黒川温泉だけでなく市街地にどう人・お金を流していくのかという施策を学べたことは印象的でした。

けれど一番に良さを感じていたのは、月に1度メンバーで集まってそれぞれのプランをブラッシュアップしていくというLVLのシステム自体ですね。プランに向き合う時間を強制的に設けることも大事だと感じましたし、同期のプランが毎回ブラッシュアップされ進んでいることを感じられるから、それが大きな刺激になりました。頑張っている人同士で意見交換するのはいいものなのだなとも感じましたね。

黒川温泉の街並み

黒川温泉でのフィールドワーク中の一枚

メンターやファシリテーター、同期生たちとはどのような関係性でしたか

ファシリテーターだった岩手県釜石市オープンシティ推進室 室長の石井重成さんとは同い年で、メンターだったNPO法人日本ファンドレイジング協会 理事の山元圭太さんとも年が近く、教えてくれる・与えてくれる先生というよりは相談相手という感覚でした。そうしたこともあり、LVLは質問して答えを返してくれる場というよりは、自分の中で考える時間を持てる研究の場でしたね。個人的には自分自身に向き合わない限りいいものは生まれないと思っているので、そうした環境はよかったと感じています。また周囲のラボ生たちも自分なりに考えを持っている人が多く、お互いに意見を交し合えることが楽しかったです。

一方でメンターの山元さんには、税理士としてソーシャルセクターに繋がりを得ていく際にLVLの外部の人とも繋げていただきとても助かりました。会社勤めだった当時、ソーシャルセクターに関心のある人が周囲にそもそも少なく、さらに非営利組織は東京に集中していて、名古屋を拠点にしている自分一人では関係性を築いていくことが難しかったので、本当にありがたかったです。

自分のビジョンを人に語れるようになり、
事業の実現が加速していく

LVLに参加前と参加後で、どのような変化がありましたか

参加した当初は自分の住んでいる地域をフィールドにしていこうと考えていたのですが、最終的には名古屋だけにこだわらず様々な地域と関わっていこうと考えるようになりました。税理士という職業柄、土地に縛られる必要性もないなと感じたということと、様々な地域の事例を持ち寄って考えるからこそ見える視点もあると感じていて。現在は地域で顧客を絞ることはしていません。

また同時に「ソーシャル税理士」と名乗り、ソーシャルセクターに関わることに特化していくことを決めました。地域で活動を絞るのでははなくソーシャルセクター全体を見て事例や人を繋げる力を育てていけば、結果的に自分が関わるソーシャルセクターの人たちに価値を提供できるのではと思うようになっていったんです。加えて、関わるときには税理士としての知見をただ伝えていくよりも、相手に考えてもらうというLVLのようなアプローチこそ大事なのではないかと思うようになりました。

けれど一番の変化は、自分がこういうことをやりたい・こういうこと考えていると人に説明できるようになったことでしょうか。LVLで毎月ブラッシュアップをしていく中で、自分の望みや大切にしていきたいことが明らかになっていき、プランがかたまり、語れるようになっていったのだと感じています。

今挑戦している活動を教えてください

現在は会社を辞め、フリーランスのソーシャル税理士としてソーシャルセクターに対してのアプローチを実行しています。社会に価値あることを提供しているのだから、それに見合った対価が支払われたり、寄付などを通して社会から支えられる仕組みを非営利団体の中に作りたいと模索中です。

また、今後は自分を通して関係している団体さん同士で、点と点が結ばれていくようにそれぞれの視点が集うことで相乗効果やコラボレーションが生まれていくといいなと思っていて。企業であれソーシャルセクターであれ、すべての組織はそれぞれが自分にもっていないものを他組織から取り入れられる余地はあるのではと感じていて、たとえばNPOはビジョンの作り込みや周囲の巻き込み方を知っているし、企業は数値的な側面に強みを持っているので、ゆくゆくはそうした他分野のプレイヤー同士が集えるコミュニティをつくれたら良いと思っています。

団体が存続していくためには、営利だろうが非営利だろうがお金は必要です。けれど、儲けだけが目的じゃなく、何のためにその仕事をするのかを皆が意識できるような社会になるよう、このソーシャル税理士としての活動がその一助に繋がっていけばいいと思っています。

>>ソーシャル税理士 金子尚弘さんのページはこちら

LVLに参加する方へメッセージ

嫌でも自分に向き合う期間になると思っています。何かを教えてもらう、与えてもらうということよりも、自分の中にある意見・ビジョンがブラッシュアップされていく場がLVLです。そうしてブラッシュアップされたビジョンを消化して自分のものにしていくことは、1人ではなかなかできないこと。最中はもちろん大変ですが、終わってみると非常に力がついたと感じられるような、自分自身の考えを深める期間になると思います。