INTERVIEWLOCAL VENTURE LABLVL OBOG 19.03.18

プロジェクトを迷いなく進めていけるエンジンが備わりました。

  • 第1期生

「木戸の交民家Co-minka」運営

緑川英樹さん

福島県出身。震災を機に、福島出身者こそ実務経験を福島の再生のために仕事をしたいという思いから、震災後から、福島の震災復興関連事業に従事(経済産業省、環境省等)。福島における国の復興事業に従事する一方で、より多くのプレイヤーが福島でチャレンジを起こしていく必要性を感じ、2015年ふくしま復興塾入塾。それを機に2016年8月から福島県楢葉町で古民家を活用した交流拠点「木戸の交民家Co-minka」を福島で出会った仲間らと運営。

地域の人や暮らしを見る一流の視点を学びたかったんです。

LVLに応募した当時のお仕事を教えてください

震災から7年が経過したころ、僕自身は福島の除染や廃棄物の処理など国の環境回復に向けた取組を広報する部門の業務をしていました。LVLに応募したのは、ちょうど東京主導から福島主導に裁量が移りそれに伴い僕も福島に赴任することになったタイミングでした。

僕の想いとしては、放射能汚染が起きた環境を再生させていくという復興の土台となる仕事をしている中で、地域のプレイヤーとしてより現場でやりたいという気持ちがでてきていたんです。具体的には避難指示が解除されたエリアにおいて、そこで新しい暮らしや仕事をどうつくっていくか、というところに課題意識を持っていました。

福島には毎週出張し、さらに地元なので地域の状況は把握していました。その中で、福島の民間プレイヤーがもっとチャレンジを起こす必要性を感じていたのでLVLの前年には人材育成塾(ふくしま復興塾)に参加しました。そこで出会った仲間3、4人くらいで、仕事の傍らで、震災によって失われずに残った地域資源に想いを馳せ、地元に戻った方や支援で関わる方、除染や解体、廃炉作業などによって多く居住するようになった作業員の方々も含めて、顔の見える交流拠点づくりを考え始めました。楢葉町にある震災以降空き家となっていた築70年程の古民家を拠点にしながら活動を進めていた時期に、LVLに応募させていただきました。

ツーリズムで交民家に宿泊された方々との集合写真

どのようなきっかけでLVLと出会いましたか

LVLが始まる前年にETIC.主催の「みちのく復興事業カンファレンス」に参加していて、ETIC.の方にLVLのプログラムを紹介していただきました。

LVLにどのようなことを期待して申し込みましたか

避難指示解除後に戻ってきた人たちや復旧復興事業等で仕事に訪れた方々と、どのようにして互いに顔の見える関係やコミュニティをつくっていくかに課題意識を持っていました。またさらに避難指示が解除されても、目の前に広がるあらゆる場所(農地・家屋・商店・公共施設等)で未だ時間が止まっているような現実の中で、LVLで遊休不動産活用の先進事例や場づくりについての実践的なノウハウを学びながら、自身の活動に取り入れていきたいと思っていました。また、他地域のプレイヤーや支援者が福島の沿岸地域に関与する流れも継続的につくれたらと思い、交流人口・関係人口を増やすための視点も同時に学びたいと思っていました。

僕が参加したエリアブランディング&マネジメントテーマラボでは、ファシリテーターが寺井元一さん(株式会社まちづクリエイティブ代表、アソシエーションデザインディレクター)でメンターが入川秀人さん(入川スタイル&ホールディングス代表、株式会社ダブリューズカンパニー会長)だったので、お二人がやられていたことを学んで、自分の活動に活かしていきたいと思っていました。

ファシリテーターの寺井さんのことは、ETIC.を通じて以前から知っていて、面白いことをやってる方だなあと記憶していました。メンターの入川さんについては直接存じていなかったのですが、SUSの取組など、自分が大学生の頃に関心を抱いた場所を手掛けられていた方だったので、とても興味が湧きました。お二方ともに、まちづくりの実践事例をバリバリやっているイメージがありました。

実際にまちをつくっている本人とそのまちを歩く。
現場の視点で学ばせていただいていました。

どのような起業プランを考えていたのでしょうか

福島の沿岸部には震災後使われていない家屋や農地などの資源がたくさんあったので、それらを活かしながら継続的にこの地域にコミットする人を増やす、という思いを持っていました。

LVLで印象的だったことを教えてください

入川さんと行った川崎でのフィールドワークでのことですね。入川さんはとにかく、スマホを持って街の色んなものをパシャパシャ撮りまくるんですよ(笑)。何を撮っているのか聞くと、「駅の近くにこういう人がいるってことはこういうことなんだ」とか「この車がここに停まっているということはここに住んでる世帯層の所得はこうで…」とか、そういう情報がボロボロ出てきて。とにかくまちや人を見る視点が勉強になりました。

当時は入川さんが手がけた殿町のホテル「The WAREHOUSE」がまだ建設中だったので建設現場にも行って、ここに何ができるのかという話も聞きました。殿町の河川敷を歩いたときにも、「今は誰もいないけど、ここの資源を使ってどんなことができるだろうか」と、工場で働く人たちが多いこの街が今後どう変わっていけるのかという可能性を話してくださったので、街をとことん調べ尽くすことを体で教えていただいた感じがあります。

メンターやファシリテーターとはどのような関係性でしたか

例えると、入川さんと寺井さんの2人がお笑いコンビで、とんでもないボケ役とスキルの高いツッコミ役がいるという感じですね。自分はそこに弟子入りさせていただいている感覚でした(笑)。そういう意味でいうと、入川さんは、怖い(笑)。まず最初に厳しい指摘からはじまり、落ち込むんですけどいつも的確なアドバイスをしてくれる。それを寺井さんがさらに分かりやすくフォローされるという感じでした。

寺井さんと入川さん、それぞれまちづくりのやり方は違うんですけど、根っこの考え方に共通項があるとわかりました。どんなフィールドであっても、まず今そのまちにいる人に十分に目を向け、地域で暮らしている人がどういう状態にあるのか考えなさい。そうした普遍的な部分は共通していました。フィールドに実際行ってみて、川崎でも松戸でも考え方は変わらないと分かったので、福島でもこういう考え方や視点をもって見ていかなければいけないと思いましたね。

ETIC.コーディネーターの方も、プレイヤーで「場をつくる」ということを実践している方なので、とても参考にしていました。実際にLVLとは別に、活動フィールドにも行ってきました。同じプレイヤーとしての視点で考えて頂けることがありがたかったですね。

「師匠」がいるからこそ、頑張り続けられる。
LVLで学んだ要素を少しずつ地域と掛け合わせていきたいです。

LVLに参加前と参加後で、どのような変化がありましたか

LVLの途中で東京から完全に福島赴任になったので、LVLで学んだことをすぐフィールドで活かしていこうという意識は強く持っていました。赴任してからは福島からLVLに通っていたんですが、LVLで学ぶ場がとても貴重な機会であると思っていたので、仕事のスケジュールをやりくりしながら何とかほぼ毎回参加していました。

その結果自分の行動がどこまで変わったかというのは客観視できていない部分もあるんですが、「師匠」に学んだからこそ恥ずかしいことはできないなという想いがあります。何かのタイミングでまたメンターやファシリテーターにお会いできたら、胸張ってお話できるよう常に努力し続けていたいな、と。そうしたモチベーションを持続する1つのエンジンのようなものにはなっています。それだけ、LVLは濃い時間だったのかな。時間は短いですけど、関わった人が濃かったと言いますか(笑)。

プロジェクトに対しても、どうしていたい、どうありたいか、という気持ちの部分での変化が大きかったと思います。メンターらに見られている意識から気合いが入り、地域の課題に真摯に向き合いながら事業をやり続けようと思うようになりました。あとは、ちょっとやそっとでは折れない心になったとも思います。

今挑戦している活動を教えてください

もともと僕がやっている地域では農業が基幹産業であったので、使われていない農地や家屋を活用して、顔の見える多様な交流人口を生み出していきたいということが目の前の取組としてありました。そこで今年は、LVLのデモデイでプレゼンした内容を実行すべく、農地の面積を広げて農地再生にも取り組んでいます。LVLで学んだ、まちの人たちに目を向けて、今そこにいるまちの人たちと関わりあいながら場をつくっていくという大事な部分を軸に、休耕地を地元地権者から借受けし、助言を頂きながら交流人口を増やしたり、福島に関心を寄せる人たちにも農業への参加意欲を高めていく仕組みも模索しています。再生した農地では米の収穫もあるので、地域における地産地消を取り戻すべく、地元の飲食店事業者に販売していたりもしています。

稲刈時の田んぼと交民家をドローンで撮影

交流拠点である木戸の交民家Co-minka自体は、2018年6月に住宅宿泊事業法が施行になったので、そこで民泊の届出を出し、農地再生の体験や復興ツーリズムなど、色んな目的用途で広く福島の沿岸部を訪れる方の場所としても今は提供しています。

今後はさらに自分以外の地域のプレイヤーがこの地でアクションを起こすときに、LVLで学んだことを活かしながら協働して、プレイヤーを増やしていきたいなと考えています。

LVLに参加する方へメッセージ

現場の第一線で実践してきた師匠からの学びは大きいものがあります。フィールドでの学びを体得し自身の行動に活かしていく上で貴重な機会だと思いますので、多くの方々に参加してもらい、ご自身のステップアップのきっかけにしてもらえたらと思います。