INTERVIEWLOCAL VENTURE LABLVL OBOG 19.04.01

仲間とファシリテーター、 メンターの“LOVE”に出会えた濃厚な半年間でした。

  • 第2期生

まちのおやこテーブル呼びかけ人・コンサルティング会社マネージャー

小林洋子さん

東京都国分寺市在住。仕事と子育ての両立に悩んだことをきっかけに、共働き時代こそコミュニティーが大切!と実感。コンサルティング会社勤めの傍ら、暮らす街で「まちのおやこテーブル」、働く街でパパママランチ、未知の街NAGATACHOなどのコミュニティー運営に関わる。米マサチューセッツ工科大学で都市計画を学んで20年近く。「子どもと共生する社会を作る」ビジョンにようやく辿り着き事業化に挑戦中。

プロジェクト事業化へ向き合うために、
仲間・場・時間・伴走者を求めて参加しました

LVLに応募した当時のお仕事を教えてください

NTT系の企業のコンサルタントです。人口構造やAI等の技術により社会が大きく変わる中でこれからの社会や地域をどう作っていくのかを国や自治体の皆さんと考えて実行していく仕事で、地方自治体の地方創生のための計画づくりやプラン実行にも携わってきました。お付き合いのある自治体さんと一緒にまちづくりのプランを考え国に提案し、予算を得られたら一緒に実行まで伴走するようなイメージです。ITを活かした仕事と子育ての応援プランや地場農業のブランド化の取り組み、ヘルスケアまちづくりや訪日外国人による観光支援など、多岐にわたるテーマに取り組んでいます。

どのようなきっかけでLVLと出会いましたか

現在、家族で暮らしている国分寺で、地域の人々と親子が緩やかに顔見知りになり、子育てをシェアできるような場をつくる「まちのおやこテーブル」という任意団体を運営しています。設立当時はフルタイム勤務の中でほぼワンオペで子育てをしていて、このままでは仕事と子育ての両立は難しいと感じたことをきっかけに始めた団体になります。LVLに出会ったのは、設立から5年目を迎え活動の価値を感じ、任意団体から事業化していけないかと考え始めた時期のことでした。

当時私は管理職で「まちのおやこテーブル」について考える時間が無くなってきていたので、夫と交渉して1年間という期間を決めて非常勤に勤務形態を変え、ここから事業を生み出せるのか、もしくはこのまま楽しい地域活動におさめておいた方がいいのかを考えるための時間をつくることに決めました。そんなタイミングで、いつもは自動で振り分けられて一括削除する「メルマガフォルダ」のあるメルマガがふと目に留まったんです。それが以前ビジネスプランコンテストに参加したことがあった政策投資銀行のメールマガジンで、起業者向けイベントとしてLVLの2期生募集の告知が掲載されたものでした。

「これはまさに今の私のためにあるプログラムだ!」と感じ、ETIC.の方と連絡をとり自分がやりたいと考えていることを伝えて、子どもの運動会の予定など外せないスケジュールを書き出した自分の予定一覧表を作り、物理的に参加できるスケジュールかどうかという基準で8つのテーマラボから参加ラボを絞りました。8個もテーマが設定されていて各テーマで開催日程もバラバラだったことは、子育てをしている身としてはとてもありがたかったですね。また、12月までと期間が決まっていたのも、期限を決めて結論を出そうとしていることや1〜3月が会社の繁忙期である自分が参加しやすさを感じた一つでした。

LVLにどのようなことを期待して申し込みましたか

この1年を考える時間にしようと思っていましたが、1人で考える時間だけでなく、ディスカッションできる相手も同時に求めていました。「まちのおやこテーブル」では子育て軸で集まったメンバーと活動していて、子育てについては話し合える場でしたが、いざ事業化したいとなったときにビジョンや経営についてなかなか話せないことが悩みでした。また、地域でも活動が知れ渡っていて、詳しい説明や説得は必要なく物事が進む状態になっていたので、新しいものが生まれにくい状況になっていました。そんな中、自分が考えたプランに対して自分にはない新しい視点で発言してくれる相手の必要性を感じていたんです。

また、これから社会を変えていこうとするときに、子育てに関心ある人だけに閉じてしまっていては限界があるなとも感じていました。そうした視点から、ETIC.は若い団体というイメージがあったので、子育てに関係が薄いであろう人たちにも伝わるやり方を模索する場所として最適なのではと感じたんです。

ただ一つ、参加にあたり懸念点はあって、「私の場合は“ローカル”=暮らしている地域だと考えているので、移住前提の参加ではないけれどそれでも大丈夫か?」とは事務局に参加前に確認しました。自分の暮らしの足元にある課題なり「こうしたい」を見つめて、地域の未来やその先の社会を考えるというスタンスであればぜひ参加したいと伝えたところ、問題ないとのことでしたので、参加を決めました。

年齢や立場に関係なく
フラットにものを言い合える場

どのような起業プランを考えていたのでしょうか

一つのプランを提出して磨き上げたわけではなく、6月の最初の時点では事業アイディアは5つほど出していました。こんなことができたらいいなという程度の、フワッとしたものでしたが。そのうちの一つのプランの中のほんの一部だったものが、最終的な事業プランに繋がりました。

LVLで印象的だったことを教えてください

最後のデモデイでは、ありがたいことに自然資本テーマラボの代表として皆の前で発表する機会をいただいたのですが、その発表の冒頭で「まず最初にテーマラボの皆さんに心から感謝します」という言葉と感謝の気持ちが何よりも先に溢れてきたくらい、本当に様々なことがあった日々でした。

忘れもしない6月の岡山県西粟倉村でのテーマラボ最初の合宿では、はじめてラボメンバーを前にした事業プランのプレゼンの時間に文字通りこっぱみじんにされました。自分としては、それまでも「まちのおやこテーブル」の活動でプレゼンは何度も経験してきたので、まさかまったく伝わらないなんてことは想定していなかったんですね。それが蓋を開けてみたらまったく皆に伝わらなくて、「私も頑張っているのだから皆さんも仕事と子育て両立してくださいねと言っているように聞こえる」であるとか、子育てをされていない方には「何がおもしろいのかまったくわからなかった」であるとか、「私は頑張っているんだから、認めて褒めて! と言っているようにしか聞こえない」とまで言われました。しまいにはメンターでエーゼロ株式会社 代表取締役の牧大介さんに「もはや事業の問題ではなく、あなた自身の問題である気がする」とまで言われてしまったんです。

もともと、今の自分の何かを変えないと次のステップには行けないんだろうなとは薄々感じていたんですが、その核心をまざまざと見せつけられた感覚で、2泊3日の合宿の残り1日メンバーに合わせる顔がない、もう帰りたい、帰るしかないと、その直後は思い詰めました。でも、夫と子どもたちを説得して、両親にも協力してもらって家族総出で送り出してもらって西粟倉村に来ていたので、情けなくてこのまま戻ることはできないなと何とか思い直し・・・ファシリテーターで株式会社エ―ゼロ厚真 取締役の花屋雅貴さんに相談して、3日目にリベンジとして再度発表させていただく機会をもらえることになりました。

西粟倉村での合宿の様子

さらにその合宿では、もう一つ印象的だった出会いがありました。西粟倉村で木材を加工して遊具をつくっている「木の里工房 木薫(もっくん)」代表の國里哲也さんにお会いしたのですが、彼がおっしゃっていた「先代が残してくれた森林を次の世代に受け継ぎたい」「一人じゃなくて仲間とやろうよ」という言葉が、ちょうどそのときの自分の状態に重なりとても心に響いてきて。

実は、当時は一緒に団体を運営してきた仲間と、これ以上は一緒に活動を進めていけないのかもしれない……と思っていた時期だったんです。私以外のメンバーは子どもたちの幼児教育の時期を終え、あるメンバーは今小学生になった自分の子どもが向き合う課題に取り組みたい気持ちでしたし、一方であるメンバーは幼児教育にまだまだ取り組んでいきたいと考えていて、一方で自分は地域を変えていきたいと思っていてと、目的を共有できない状態になっていたのですね。けれどその國里さんの言葉を受けて、仲間はやっぱり大事にしたいなあとしみじみ感じて、合宿から帰って話し合いの席を設けることを決めました。そして、今までは団体発起人である自分が先導して話を進めるスタイルをとっていたのですが、その日はまず黙ることにして一人ひとりの気持ちを聞き、最後に私は皆と一緒にやっていきたいと思っていると自分の気持ちを伝えるスタイルをとりました。すると、全員の気持ちが一つになって、一緒に活動を続けていくことにまとまったんです。

そのことを合宿後にラボのメンバーに報告したら、みな自分のことのように喜んでくれました。「ああ、私は彼らを信頼して進んでいこう」と思った瞬間でした。

「涙が止まらないほど直球で感じた」という、國里さんのお話

メンターやファシリテーター、同期生たちとはどのような関係性でしたか

自然資本テーマラボではファシリテーターの花屋さんの存在がすごく大きくて、メンバーそれぞれが色んなことに悩んでいる中、“ちょっと斜め上”くらいからいつもアドバイスをしてくれていました。メンターの牧さんは、遠方だったこともあり要所要所でしか現れないのですが、本質をズバーっと刺しまくっては去っていかれましたね(笑)。それを花屋さんは助けてはくれないし労ってもくれないのですが、「見捨てないよ。何かあったら相談して」と、話を聞いて欲しいと伝えると絶対に相談にのってくれました。言葉や態度は優しくないんですけれど(笑)、本当に優しい方でしたね。

そして牧さんも、厳しいことをおっしゃるだけでなく、ちゃんと見ていてくれるのです。「事業をどうしていけるのかではなくて、本当は生き方を求めているんでしょう」であるとか、一人ひとりの本質を見抜いてくれていてありがたかったです。また、ETIC.スタッフの清水さんは優しく横で見守っていてくれていて、メンターとファシリテーターの行間を埋めてくれる方でした。この3人の併走だったからこそ、くぐり抜けられたと思っています(笑)。

10人の仲間たちとは一緒にもがき苦しみながら、大丈夫だよと言い合いながら乗り越えました。もう40歳にもなると、会社では管理職やベテランの立場になってきて人にショッキングなほど批判される機会なんて滅多にないので、年齢や立場関係なくフラットにものを言い合えて考え合える場があるのは本当に良いことだなあ感じましたね。

西粟倉村での合宿の最後に

未来に引き継ぎたい「感謝と感動」に気づき、
共感を生み出すことができました

LVLに参加前と参加後で、どのような変化がありましたか

事業のことを考える以前に自分を知ることが大事だと、そしてその根底にあるべきなのは、気恥ずかしいけれどやっぱり“LOVE”なんだよと、自然資本テーマラボでは繰り返し言われてきました。「社会のためにやる」は何か違うんじゃないか、「自分がやりたいからやる」んでしょ、と。また、西粟倉で國里さんがおっしゃっていた「受け継ぐ」ということ、自分以外の誰かを見返りなく大事に思うことが“LOVE”なんですよね。そう感じたときに自分にとっての“LOVE”を改めて言葉にしようと思ったら、それは「感謝と感動」でした。

「まちのおやこテーブル」のメンバーには国際モンテッソーリ協会(AMI)公認教師である深津高子さんという方が関わってくださっているのですが、彼女とはじめて出会ったときに教わった「子どもは自ら育つ力があるから、そこを支えてあげるような関わりを大人がすることで子どもは自ら伸びていく」という考え方が自分の子育てを本当に劇的に変えてくれました。子どもを信じることで子育てがラクになったんです。そのときの「感謝と感動」を未来に受け継いでいくということを事業にしたいと、そう思うようになりました。6月の西粟倉村の合宿では自分の根っこの話ばかりをして、未来に何を引き継ぎたいのかを語らなかったですし、意識してそうしたことは考えてもいなかったので、「自分が、自分が」というメッセージになっていたのですね。

そうしてようやく「子どもと共生する社会をモンテッソーリの先生とつくる」というビジョンが決まり、子どもための居場所コーナーを街のお店の中につくる、そのために必要な時に出し入れできるコンパクトな居場所コーナーセットを作るプランに決めることができました。このキッズコーナーがあることで、例えばカフェに来た大人が夢中で遊んで楽しんでいる子どもの姿を見て、子どもと大人はそれぞれの世界で同じ場で共生できるということが体感できるのではと思っています。コーナーを作るという行為自体は小さなことかもしれませんが、その先に生まれる社会の変化は大きなものになっていくのではないでしょうか。

取材はsumicco設置のカフェにて

デモデイでは、このプランでファシリテーター賞と共感賞をいただけてとても嬉しかったのですが、実はそのダブル受賞よりも、最終プレゼンに自然資本デモデイの代表に選んでいただけたことの方が嬉しかったんですよ。玉砕からはいあがったときに寄り添ってくれた仲間が、「応援したいと思った」「社会が変わるかもしれないと思った」「ふざけるなと言って帰ることもできたのに、指摘を受け入れてやり続けた」と次々と言ってくれたときに、ああ、あの日西粟倉村から帰らなくて良かったと思いました。

また、デモデイの会場には子育てをされていない方も多くいらっしゃったようでしたが、そうした人たちも共感してくださったことは本当に嬉しかったです。LVLに参加していなかったら、ここまでたどり着けなかったと感じています。

共感賞のプレゼンの様子

今挑戦している活動を教えてください

子どものための小さな居場所コーナーを街なかのお店につくろうということで、そのための持ち運べるミニマムなおもちゃセットを、子どもの発達に知見のあるモンテッソーリの先生とその店舗によく来る子どもたちの年齢や発達を考慮して作るsumicco(スミッコ)プロジェクトを進めています。現在は国分寺近辺の3店舗のカフェで展開していて、次は都内で4店舗目が決定しています。

このプランは当初考えていた5つの案の中にその原型があったもので、そこからLVLでのブラッシュアップを通して案を絞り、さらにLVL外部の人たち100人ほどに話して意見を求める中で手応えを感じたものになります。

sumiccoシンボル。大人がちょっとかがめば子どもと楽しく共生できる

イベント時にお子さんがsumiccoで遊んでいた様子

今はカフェの中で大人たちと共生できるという実感が生まれることを狙いにしていますが、その先に本屋やアパレルショップ、美容室、ギャラリー等、キッズカフェや遊園地等、「子どものため」の場所ではない日常の場でも、大人には大人の、子どもには子どもの良い時間が存在しながら共生できる社会づくりを目指したいと思っているので、ムーブメントを起こすための一つの取り組みとして、シンボルづくりやこのキットを導入していただいたお店に貼るポップやシールを現在は制作している最中です。また、子どものことを理解できる親や大人を増やす、共生に向けての環境づくりをしていきたいですね。

>>まちのおやこテーブルのホームページはこちら
フェイスブックページはこちらから。

LVLに参加する方へメッセージ

仲間とファシリテーター、メンターのLOVEに出会えた濃厚な半年間だったと思います。大人になってそのような関係性を築ける場はとても貴重だと思います。この時間は裏切らない。だからこそ思い切って自分の殻を脱ぎ捨てて、枠を超えて仲間とこの時間を分かち合ってほしいと思っています。