INTERVIEWLOCAL VENTURE LABLVL OBOG 19.04.10

代表理事としての使命感をこえて、 自分にとっての“魂の通う仕事”に出会えました。

  • 第2期生

NPO法人おっちラボ 代表理事

小俣健三郎さん

島根県雲南市を拠点に地域の未来を創る若手実践家の育成を担うNPO法人おっちラボで代表理事を務める。市の地方創成交付金が2年後に終了することから、今後の資金調達の課題に直面しLVLに参加。現在は雲南市にコミュニティ財団立ち上げるため、住民のチーム作りやヒアリングなどを進めている。

地域の持続可能性を守るお金の流れを生み出すために、
参加を決めました。

LVLに応募した当時のお仕事を教えてください

NPO法人おっちラボの代表理事として、雲南市の人材育成や地域振興に関する事業、地域の未来を創る若手実践家の育成に取り組んできました。具体的には、「幸雲南塾」という人材育成塾の企画・運営を雲南市からの業務委託という形で進めています。

実は、参加した「お金の流れテーマラボ」のメンターである合同会社喜代七代表の山元圭太さんはおっちラボの理事であり、雲南市の地方創生アドバイザーでもあります。雲南市役所には子ども・若者・大人すべての世代のチャレンジ人材を育成するプロジェクトチームがあるのですが、それらの6つのプロジェクトをより有機的につなげていく役割を山元さんが担っていて、LVL応募当時から事業の仲間として山元さんとはつながりがありました。

どのようなきっかけでLVLと出会いましたか

市の地方創生の交付金が残り2年で終了することになり、地域の持続可能性を守るお金の流れを生み出すことは雲南市の大きな課題でした。そんなときに山元さんが「お金の流れデザイン」のメンターになることが決まり、彼からの誘いもあり参加を決めました。

LVLにどのような期待を込められていましたか

おっちラボ自体がローカル事務局としてLVLに関わることになっていたので、自分たちも実際にLVLを体験しておくのがいいのではと思っていたんです。また、ローカルベンチャーラボ推進協議会の自治体さんたちと一緒にこれからの地域の中間支援について議論できる機会としても期待をしていました。

フィールドワークと特別講義での学びに後押しされ、
「コミュニティ財団をつくる」という決断ができました。

雲南市の方々とのコミュニティ財団勉強会の風景

どのような起業プランを考えていたのでしょうか

雲南市に新しいお金の流れの仕組みを作らなければいけないという課題だけがあり、具体的な案はないままでの参加でした。

LVLで印象的だったことを教えてください

特に印象に残っているのは、岩手県釜石市で行われたフィールドワークでの出来事と、LVL中に参加したローカルファイナンス(地域金融)についての特別講義です。

釜石のフィールドワークでは地域のNPOの方たちと出会わせていただきましたが、皆さん少人数で運営されていて、資金調達の戦略立てや実行の余裕がないように見受けられました。そうした状況を一緒に見ていたメンターの山元からも「やはり資金調達は一団体で担うよりも、地域全体のファンドレイザー機能としての専門的な機関が存在した方がいいのではないか」とコミュニティ財団をつくる方向性の示唆をもらい、すぐには腹落ちしなかったのですが、彼を信頼していたのでまずはやってみようと動き始めることになりました。

コミュニティ財団とは、簡単に言ってしまえば「市民による市民のための財団」です。小規模な団体では独自の資金調達部門を持つ事が難しいため、まちの資金調達部門としてコミュニティ財団を設立し、熟議のプラットフォームや市民のニーズを発信するスピーカーとして機能させようというものです。資金調達としての意味だけでなく、どの地域活動に資金をあてていくのかを、市民が自分自身の手で選び、一人ひとりが雲南のあり方や未来を考える“議場”としての機能をもあわせ持ちます。

さらに夏には全国コミュニティ財団協会会長・深尾昌峰さんの地域金融に関しての特別講義を受ける機会があり、そこで改めて「皆でまちを作っていく」というコミュニティ財団の世界観と仕組みに触れる機会を得ました。そこで生まれたコミュニティ財団が持つ世界観への憧れが、雲南市にもそれをつくるのだという実現へ向けた歩みを後押ししてくれたと感じています。

また、LVLの終盤には雲南の市民の皆さんにコミュニティ財団をつくることについてのヒアリングを始めたのですが、その際に皆さんの前向きな気持ちを知ることができ、コミュニティ財団設立が自分の思い込みや妄想ではなく市民のニーズの代弁になれていることを知りました。このアリングは、毎月のLVLでの自分の取り組みを報告するという仕組みに背中を押されて始められたことだと思っています。

メンターやファシリテーター、同期生たちとはどのような関係性でしたか

メンターの山元さんとはLVL参加前より一緒に仕事はしていましたが、参加することで市の今後の資金調達の戦略についてより多く話す時間を持てるようになりました。また、ファシリテーターで岩手県釜石市オープンシティ推進室 室長の石井重成さんは、常に自己開示がしやすい雰囲気をつくって皆が気持ちよく話せる環境を作ってくださったように感じています。事務局にも、有益な情報の共有から事務の調整まで大変お世話になりました。

ラボの同期生たちとは、共にそれぞれの悩みを語り合うことで、振り返って自分自身への問いを深めていくことができたなと、その存在に感謝しています。

市民が自分たちで地域の未来を選択していくという世界観の実現へ。

LVLに参加前と参加後で、どのような変化がありましたか

私の場合は事業プラン自体がまだない状態での参加だったので、「コミュニティ財団をつくる」という決断ができたということが一番の変化だったと思っています。

また、東京での弁護士としての生活を辞めて雲南市に移住を決めたときから、その決断をするからには自分のその後のキャリアのことも踏まえ、雲南で何か“魂の通う仕事”を生み出したいとずっと考え続けてきました。そうした背景がある中で、お金の流れの仕組みづくりについて学びを深めれば深めるほどその魅力を発見していき、コミュニティ財団づくりが自分にとっての“魂の通う仕事”になり得ると確信していきました。今ではおっちラボの代表理事としての使命感だけではなく、自分自身の心からの望みとして、このコミュニティ財団づくりに取り組めていると感じています。

今挑戦している活動を教えてください

今はコミュニティ財団を市民みんなで2019年につくりますということを宣言している状態です。少しずつ市民の皆さんとも対話を進めていますし、準備委員会に入っていただきたい方々への声かけも同時に進めています。2月には「市民による市民のための財団を語る夜会」を開催し、3月には準備委員会候補の方との作戦会議も行われました。

このコミュニティ財団という仕組みを通して、市民が自分たちで地域の未来を選択し、地域の未来を自分ごととして考える人が増えていけばいいなと思っています。

小俣さんにとってLVLはどのような場でしたか

専門的な情報を得る場というよりも、ペースメーカーとしての場だったと思います。月に1度しっかり考えるための時間として地域から送り出してもらっていたので、必ず今後のアクションにつなげていかなければと、覚悟を決めて取り組んでいました。

LVLに参加する方へメッセージ

地域をもっとおもしろくしたいと真剣に思っている人が、日本中にいます。そういう人たちと膝を突き合わせて議論し、自分の熱の源泉と向き合う時間をしっかりとる。そうして見出したものに向かって必ず動く。LVLはそういう機会です。「動くのだ」と決めた人は、価値を感じられる場だと思います。