EVENT/REPORTLOCAL VENTURE LAB 22.08.10

事務局レポート「グローバルに展開する起業家支援組織との連携から学んだこと」

ローカルベンチャーラボ2022(第6期)は、ロンドンに拠点を置く中間支援組織ユース・ビジネス・インターナショナル(Youth Business International 以下、YBI)のサポートを受けながら、「フューチャーメーカーズ」というグローバルプログラムに参画しています。

「フューチャーメーカーズ」とは、社会的に不利な立場にある若者等に対して、就職や起業のチャンスを高めるための支援をおこなう事業で、英国イングランドとウェールズに拠点を置く慈善団体スタンダード・チャータード財団が主催するグローバルプログラムです。

YBIは、このフューチャーメーカーズ・プログラムのうち、8か国における事業のコーディネートをしています。2022年6月には、YBIとともにフューチャーメーカーズを実施する中間支援団体がイスタンブールに一堂に会し、学び合いや意見交換をする場が提供されました。

今回、その場に参加したローカルベンチャーラボ担当者・伊藤によるレポートをお届けします!

写真左側がローカルベンチャーラボプログラムを担当しているETIC.伊藤(写真提供:YBI)

世界を舞台に活動する中間支援組織・YBIとは?

YBIは、英国ロンドンに拠点がある世界中で若者起業支援をおこなう中間支援組織のグローバルネットワーク組織で、このネットワークには46か国、50もの団体が参加しています。

”若い起業家たちの存在や、彼らが生み出す事業が、新しい雇用や地域経済を形成し、持続可能な社会の実現に繋がる”という考えのもと、各国の中間支援団体とパートナーシップを組みながら、若者に対して起業に関する必要なスキル、自信、そして人脈を築くために必要なコーディネートやプラットフォームをつくっています。

また、世界各国の財団やスポンサーと連携をして、世界中からプログラムに適切な実行団体をマッチングし、多様な国の団体が、同じ枠組みの中で事業が実施できるようサポートしています。

今回のフューチャーメーカーズも、YBIを通して参加しているのは、ドイツ、トルコ、ボツアナ、ナイジェリア、ウガンダ、インドネシア、ベトナム、そして日本の8か国。エリアも広く、文化背景や社会状況も異なる国々ですが、YBIがコミュニケーション整理をおこないながら、プログラムの全体マネジメントを担っています。

世界中から集まった参加者たち(写真提供:YBI)

多様な背景・文化の中でインパクトを語るための指標づくり

ETIC.では、2020年より新型コロナウイルスの緊急支援の提供をきっかけに、YBIとの連携を始めました。それ以降、プログラムでの連携を軸にしながら、グローバルでの資金調達や、発信における視点について学ばせていただいています。

今回のフューチャーメーカーズでも、異なる文化背景や社会状況である国々が、同じ枠組みの中で資金調達をしており、それぞれの事業によって生み出されるインパクトを明確に語ることが必要になります。そのため、プロポーザルの段階から、YBIがファシリテーションに入り、クライアントとも丁寧にKPI設定の議論と擦り合わせがおこなわれました。

日本における地方の課題、たとえば都市部との機会の格差や過度な高齢化なども、国内だと理解がされやすいですが、その前提がない海外機関には、なぜこの事業が必要なのか、日本の地方はどのような状況でなのか、何を目指し、何が実現出来ると成功と言えるのか、ひとつひとつ言語化をしなくてはいけません。

事業の成果について議論する過程でも「何をインパクトとして目指すのか」「そのための段階的なアウトカムは何か」を明らかにしたうえで、さらに「インパクトが高いが、実施の難易度が高いこと」から、「インパクトは低いが実現が容易なこと」までを「Higher Outcome」「Intermediate Outcome」「Lower Outcome」の3段階で整理をし、それぞれのアウトカムに対して、具体的にどんなアプローチをおこない、何をKPIとしてカウントするのか、それはいつ、誰がどのように測定するのかまで決めていきました。

また、それぞれのアプローチにはどんなリスクがあるか。起きた場合はどのように対処するのかまでをブレイクダウンします。最終的には、すべてを言語化して一覧表で指標を作成し、ステークホルダー全員と目線合わせをし、合意を得た上で事業を始めていきます。

中間支援のグローバルネットワークから学ぶこと

こうして指標を明確にしたうえで事業を始めるので、定期報告も指標に紐づいておこなわれます。おかげで不要なコミュニケーションが発生することもなく、事業の進捗や成果も把握でき、定期的な見直しもしやすくなりました。

目指す成果や仮説のブレイクダウン、共通項の抽出など、指標を作成するための議論に多くの時間を要しましたが、これにより事業スタート時には関係者が自律的に動いていくことにもつながっています。

社会的意義が高く、課題が複雑であるほど、対象となる人や地域・分野によって異なる状況に目が向いてしまいます。そうした事業では、成果の指標を個別化することや、複雑な評価を置いてしまうこともあるのではないでしょうか。

しかしシンプルな指標を用いることで、事業の連携や情報交換、相互支援にもつながりやすくなるだけでなく、ともにインパクトを語ることができます。そのことはより広い理解者・応援者を募っていくうえでも、重要だと感じています。

会では、私たちの事業についてプレゼンする時間もいただきました(写真提供:YBI)

※ この記事に使用した写真は、すべてYBIから提供されています。
※ この記事は、NPO法人ETIC.ソーシャルイノベーション事業部が発行するメールマガジン「ソーシャルイノベーションセンターNEWS」2022年7月26日号にも掲載されたものを、導入のみ改変し掲載しています。